■ Hello School 古典 文法 助動詞 べし ■
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べし 推量意志当然適当命令可能の意味をもち、形容詞ク活用型の活用で、
 活用語の終止形、ラ変型活用語の連体形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
べし (べく)
べから
べく
べかり
べし べき
べかる
べけれ 形容詞ク活用型

(1)推量…[きっと〜だろう・〜である・〜そうだ]
べし もろもろの辺地などを加へていはば、際限もあるべからず。(方丈記)
 (いろいろな辺びな土地も加えて言うならば、きっと限りない数になるであろう。)
 
[未然]
昔、男、わづらひて、心ち死ぬべくおぼえければ、(伊勢物語・一二五段)
 (昔、男が病気になって、今にも死にそうだと思われたので)
 
[連用]
女児のためには、親をさなくなりぬべし(土佐日記・二月四日)
 (娘のためには親は幼い子供のようになってしまうそうだ。)
 
[終止]
風情すくなく、心あさからん人の、さとりがたきことをば知りぬべき(無名抄)
 (風情な心が少なく、感情が浅い人が(歌の情趣や余情などを)理解しにくいことがきっとわかるだろう。
 
[連体]
すずろなる死にをすべかめるかな。(竹取物語・龍の首の玉)
 (思いもよらない死に方をしそうにみえます。)
 
[連体]
物の多くよきがいでこん世には、いまをしか思ふべけれど、(玉勝間・一四)
 (よいものがいろいろと出てくるような時代には、現代もそのように(不満・不平があると)思うのだろうが、)
[已然]

(2)意志…[〜う・〜よう・〜つもりだ]
べし 義仲、六条河原でいかにもなるべかりつれども、(平家物語・木曾の最後)
 (義仲は、六条河原で討ち死にするつもりであったが、)
[連用]
容顔まことにびれいなりければ、いづくに刀を立つべしとも覚えず。(平家物語・敦盛の最後)
 (容姿が実にきれいであったので、どこに刀を突き通そうかとも思われない。)
[終止]
いかか他の力を借るべき(方丈記)
 (どうして他人の力を借りるのだろうか。)
[連体]

(3)当然…[〜はずだ・〜ねばならない]
べし 勝たんと打つべからず、負けじと打つべきなり。(徒然草・一一〇段)
 (勝とうとして打つのではなく、負けないように打つべきである。)
 
[未然]
ことなるゆゑなくて、たやすく改まるべくもあらねば、(方丈記)
 (特別な事情もなく、簡単に都移りがあるはずもないので、)
 
[連用]
恐れのなかに恐るべかりけるは、ただ地震なりけり(方丈記)
 (恐ろしいことの中で恐ろしいことは、ひたすら地震である)
 
[連用]
よき詞を続けたれど、求めたるやうになれぬるをば、また失とすべし(無名抄)
 (上手く言葉を並べたのだが、故意に作り上げたようになってしまったのは、失敗といわねばならない。)
 
[終止]
必ず来べき人のもとに車をやりて待つに、(枕草子・二五段)
 (必ず来るはずの人のもとに牛車をやって待っていると)
 
[連体]
なかなかかかるものの隈にぞ思ひのほかなることもこもるべかめると(源氏物語・明石)
 (返ってこういう田舎で目立たないところに美人がこもっているはずだと)
 
[連体]
月の影はおなじことなるべければ、人の心もおなじことにやあらん。(土佐日記・一月二十日)
 ((中国でも日本でも)月の光は同じはずなので、人の心も同じことなのでしょう。)
[已然]

(4)適当…[〜のがよい]
べし いかでさるべからむをりに、心のどかに対面して申しうけたまはらむ(枕草子・八段)
 (どうかして、適当な機会に落ち着いてお目にかかってお話し申し上げ、お聞きしたいものです)
 
[未然]
世の常のすきずきしき筋には、おぼしめし放つべくや。(源氏物語・橋姫)
 ((私を)世間普通の浮気な人間と思い捨ててなさってよいものでしょうか。)
[連用]
にくき歌なれど、このをりはいひつべかりけりとなん思ふを。(枕草子・一四三段)
 (気に入らない歌であるけれど、今の場合は、まったく言うにふさわしいと思われました。)
 
[連用]
みづからもいと心得ぬことなれば、さだかにいかに申すべしともおぼえはべらねど、(方丈記)
 (自分でもとても理解できないことなので、明確にどういうふうに申し上げるのがよいのかわからないのですが、)
 
[終止]
今日ばかりは、わざとかくてあるべきなり。(徒然草・一八四段)
 (今日だけは、事のほかこういうふうにしておくのが良いのです。)
[連体]

(5)命令…[〜せよ]
べし ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。御疑ひあるべからず。(平家物語・忠度都落)
 (決していい加減ではございますまい。お疑いになってはいけません。)
 
[未然]
手を取り組み、肩を並べて渡すべし(平家物語・橋合戦)
 (手を組んで肩を並べて渡らせよ)
 
[終止]
さてもあるべきならねば、鎧直垂を取つて、首をつつまんとしけるに、(平家物語・敦盛の最後)
 (そうしているわけにはいかなので、鎧直垂を取って、首をつつもうとしたところ、)
[連体]

(6)可能…[〜ことができる]
べし 羽なければ、空をも飛ぶべからず。(方丈記)
 (羽がないので空を飛ぶこともできない。)
 
[未然]
口開かすべくもなく難ぜられければ、(無名抄)
 (他人に発言させる間もないほど非難されたので、)
 
[連用]
扇ならで、これしても、月は招きつべかりけり。(源氏物語・橋姫)
 (扇ではなくて、この撥でも、月は招き返すことができるのですね。)
 
[連用]
此の一つにておしはかるべし(玉勝間・一四)
 (この一例によって(昔より後世の方が勝ることを)推量することができよう。)
 
[終止]
さやはけにくく、仰せごとをはえなうもてなすべき(枕草子・二三段)
 (そうそっけなくせっかくの仰せごとを無駄にすることはできないでしょう。)
 
[連体]
「後に」とてもやりつべけれど、(枕草子・二八段)
 (「後で」と言って、追い返すことができるですが)
[已然]

※「ぺし」の音便
イ音便 「ぺき」→「べし」

ウ音便 「べく」→「べい」

撥音便 「べかるめり」→「べかんめり」  「べかるなり」→「べかんなり
        ただし「ん」は表記されない場合がある。
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