■ Hello School 社会科 公民(ハロ民) No.5 日本国憲法の中の基本的人権 ■
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解説ページで勉強したら、標準問題も解いて知識を定着させてね♪
1.基本的人権の定義と権利
(1)基本的人権の定義
 日本国憲法の第97条で、基本的人権を「人類の長年に
 わたる自由獲得の努力の成果であって、
侵すことの
 できない永久の権利
」であると定義している。
 その権利として、平等権、自由権、社会権、基本的人権
 を守る権利がある。

(2)平等権
 憲法第13条では、「すべての国民は、個人として尊重さ
 れる」と定められ、国民は平等にあつかわれることを保障
 されている。

 
@法の下の平等
  憲法第14条では、
すべての国民は法の下に平等であり、
  人種、信条、性別、社会的身分・家柄、政治的・経済的・
  社会的関係において差別されないとしている。
  また、貴族制度も禁止している。

 
A男女の本質的平等
  憲法第24条では、
両性の本質的平等が定められ、
婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦は同等
  の権利をもつことを基本としている。

 B政治上の平等
  憲法第44条では、国会議員や選挙をする人の資格に、人種、信条、性別、社会的身分・家柄、収入などの
  差別をしないことを定めている。

 ※1999年に、
男女共同参画社会基本法が制定され、男女があらゆる社会活動で対等の立場で参加できるようになった。

(3)自由権

 自由権は、国家権力によって個人の自由が侵されない権利のことで、大きく以下の3つに分けられる。

 
@身体の自由
  国民はいかなる奴隷的拘束や苦役を受けず(憲法第18条)、法律の定める手続きによらなければ生命と自由
  を奪われず(憲法第31条)、人権を侵さない範囲で逮捕・抑留・拘禁・供述されず(憲法第33条〜35条)、拷問
  や残虐な刑罰は禁止している(憲法第36条〜39条)。

 
A精神の自由
  思想や良心の自由は侵すことができず(憲法第19条)、信教の自由(憲法第20条)も保障し、さらに集会・結社
  (憲法第21条)、学問の自由(憲法第23条)も保障している。

 
B経済活動の自由
  憲法第22条では、居住・移転・職業選択の自由が認められ、第29条では、国民は私有財産を保障し、国家は
  それを侵してはならないという財産権の不可侵を定めている。

(4)社会権
 すべての国民が
人間らしく生活できることを願ってつくられた権利で、20世紀的権利ともよばれる。大きく以下の
 3つに分けられる。

 
@生存権
  
すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利のことで、憲法第25条で保障されており、国家は
  生活面だけではなく、社会福祉や公衆衛生の面まで向上に努めなければならないとしている。

 
A文化的生存権
  
教育を受ける権利のことで、憲法第26条に定められており、小・中学校の9年間の義務教育は無償としている。

 
B労働者の権利
  憲法第27条と第28条では、国民に働く権利を与え、失業者に対してはその生活を保護し、
労働条件の最低基準
  を国が示しめしている。また、立場の弱い労働者は雇用者側と対等の立場で交渉できる法律なども認めている。
   これらに関係する法律として、
労働基準法があり、雇用者と労働者が対等の立場で交渉できる団結権・団体
   交渉権・団体行動権を
労働三権という。

(5)基本的人権を守るための権利
 基本的人権の保障とともに、国民もそれらの権利を守る権利も存在し、大きく以下の3つに分けられる。

 
@参政権
  国民が政治に参加する権利で、選挙で投票をする
選挙権と選挙に立候補する被選挙権がある。また、最高裁判
  所長官の国民審査と憲法改正への国民投票権もある。

 
A請求権
  国民の権利が侵された場合、その権利を国に請求し、救済を求める権利のことで、
損害賠償請求権(憲法第17条)、
  
裁判を受ける権利(憲法第32条)、刑事補償請求権(憲法第40条)がある。

 
B請願権
  国民が損害の救済、公務員の罷免、法律の改正など、国の機関に請願できる権利で、憲法第16条で保障され
  ている。
2.新しい権利
 ここ近年、経済や社会が発展または変化してきている中で、憲法には直接に定められていないものの、国民の間から
新しい人権として注目を浴びているものがあり、以下のものが代表的である。

(1)環境権
 国民がある程度満たされた自然や文化的な生活を送れる権利のことで、高度経済成長期の公害などの問題からこの
 権利が生まれてきた。日照権や地域の景観を守る権利、たばこの嫌煙権などがある。

(2)知る権利
 国民が政府や企業に対して生命や安全などに関する情報の公開を要求できる権利で、1999年に情報公開法が制定
 された。

(3)プライバシーの権利
 個人の私生活の情報を他人に公開されたくない権利のことで、国の個人情報保護や地方自治体のプライバシー保護
 条例などがある。
3.公共の福祉と人権
 日本国憲法では、国民の人権は最大限に尊重されているものの、大多数の人々の人権ために一部の人々の人権を
 制限する場合もあり、こうした社会全体の利益または幸福のことを
公共の福祉という。

 日本国憲法では、他人の人権を侵す人権の濫用を禁じる一方で、公共の福祉のために利用する責任もとっている。
標準問題
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