■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
銀色跳ねた
ベンジャミン

窓の外を眺めていたら
ちらちらと光の粒が見えて
それは屋根から落ちる
雪融け水だった

ぽたぽたと
小さな粒の集まりは
バンジージャンプをするように
春に向かっておちてゆく


おそるおそる見つめる僕


ほら、
また、

銀色跳ねた



くだけ散った水滴は
無数の光線と
無数の屈折を描いて
反射するガラスの窓に
幾重もの輪をつくる


希望とは
そういうものかもしれないね


ほら、
また、

銀色跳ねた



小さな虹が
目をほそめながら笑ってた


ほら、
また、



春が近づいてきた


作品の著作権は作者が保持します。
無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「自然現象から感じられる情感」

主な表現技法…擬人法・反復法
解説
※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する内容は
あくまでも私(作者)の主観によるものであることをあらかじめ
記しておきます。


技法的なことから述べると、この作品には様々な技法が使われ
ています。

まず、「ちらちら」という擬態語と呼応する「ぽたぽた」という
擬音語が印象的
でしょう。
さらにそれは、そのあとに書かれている「おそるおそる」という
表現とも対応しています。

そして、

ほら、
また、

銀色跳ねた

という表現が、何度もあらわれてきます。
これは
「リフレイン(繰り返し)」という技法です。

同じフレーズを一定の間隔で挿入することによって、印象を
深める(情景を想像の中に描きやすくする)効果があります。


さらに、水滴が落ちる様を「バンジージャンプをするように」と、
直喩で擬人化しているのも
擬人法という技法の一つです。
同様に、擬人法を抜粋するならば、最後のほうに書かれている
「小さな虹が 目をほそめなが笑ってた」というのは、直喩では
なく
隠喩です。「〜のように、〜みたいに」という表現を直接喩える
直喩といい、後者の方は、そういった言葉を使わずに表現している
ので隠喩と呼ばれます。


少々難しい点を指摘すると、この作品では、文章の終わりの
「a」を多用しています。


「〜いたら」「〜だった」「集まりは」「ほら」「また」「跳ねた」等など
の語尾に注目してください。つまり「完了」を意味する「a」の韻と、
それ以外を意味する同じ「a」の韻が、何度も出てくることで、文章
の読みの運び(読みやすさ)の良さをつくっているのです。
この技法を使うことによって、読後の爽快さが増します。


そして結びの「春が近づいてきた」という文章を、さらに心地よく感じ
させることに役立っているわけです。


ただし、技法に傾倒すことは、難読な文章になりがちで、また、
あまり多いとしつこさまで感じてしまうので、注意が必要と言えます。

身近な自然現象をとらえて、その美しさ等を表現しようと
する場合、その美しさ以上の美しさを表現することは、
とても難しいことであることを付け加えておきます。

朗読 Tanpopo (MP3 1.06MB)朗読
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
朗読 緋刄 乙(ひば きのと) (MP3 294KB)
 インターネット声優 高校生(収録当時)
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…ベンジャミン
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…
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