■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
田舎道
落合朱美

ぽくぽくと砂埃の道を
踵の低い靴で歩く
道端にときおり現れる
柿の木の下で
風に吹かれて和みながら

寂れた雑貨店は
小さなオアシスのように見えた
冷蔵ケースのコーラの瓶の
くびれたウエストが
なぜか可笑しかった

畦道の向こうに
すこし朽ちた墓石たちが
寄り添っているのが
この村の縮図みたいで
笑みが零れた

父が生まれたこの村に
今年は私が一人で帰ってきた
行き交う人はみな顔見知りで
お帰りなさいと言ってくれる

時代遅れの優しさに
照れてしまって
ふと脇道を見遣れば
彼岸花が揺れていた
 
作品の著作権は作者が保持します。
無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「素朴な風景の描写」

主な表現技法…擬人法
解説
※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する
内容はあくまでも作者・編者の主観によるものであること
をあらかじめ記しておきます。

この詩は、特に意識した技法などはないものの、最初の

「ぽくぽくと」という
擬態語はのどかさのあるイメージを
読者に与え、この詩の世界に誘わせる、巧みな技法に
なっています。
また、第2連の「コーラ瓶のウェスト」とさほど強くないで
すが、
擬人法が使われていたりします。

この詩は作者が実際の父親の出身地の田舎の村の
風景を、できるだけ淡々と写実的に書いたもので、この
ような作品を
叙景詩といいます。
写真で表現すれば済むと思われがちですが、言葉で
風景を表現すると、写真では伝わらない心の温もりまで
読む側(見る側)に伝えることができるのです。

けっして都会ではないのですが、街に暮らしていると、
田舎の人々の屈託のない優しさがこそばゆく感じられ
たりします。
それでもなんとなく素朴な風景と人々の中で心休まる
時間を求めて、作者は実際に時々この村を1人で
こっそり訪ねたりしています。

この作品を通じて、その心を感じとれればと思います。
朗読 Tanpopo (MP3 1.27MB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…落合朱美
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。    メインサイト…「お昼寝の時間」  
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