■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
めくるめくなめくじ
ベンジャミン

はっぱをめくればなめくじ

みんなにきらわれて
しおをまかれたりする

おまえなめくじ

うまれてからずっと
からだじゅうでないている

おれだっておなじ

みんなにきらわれて
しょっぱいなみだながしてる

なくほどにちっちゃくなるからだを
まもるためのからもない

おまえもおれもなめくじ

うまれたときからなきつづけてる
そんなきがするなきむし

ひかりをきらいかげにかくれてる
おまえとおれはなかよし

だけどたまにはゆうきをだして
おひさまをあびてみようか

からだじゅうのなみだをきらきらさせたなら
めくるめくひかりにつつまれて

おまえもおれも
もしかしたらとてもきれいだ

 
作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「身近な生き物からのイメージの飛躍」

主な表現技法…擬人法・反復法(正確な反復ではありませんが)
解説
※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する
内容はあくまでも私(作者)の主観によるものであること
をあらかじめ記しておきます。

まずはじめに、この作品で目を引く点は、タイトルである
「めくるめくなめくじ」という言葉でしょう。「なめくじ」が
「めくるめく」ってどういうこと?みたいな驚きがそこにある
からです。しかも、このタイトルには、「めく」とい文字の
ならびが三ヶ所も含まれていて、それが語呂の良さを感じ
させています。

内容においては、特に特殊な技法は使われておらず。
「なめくじ」を「おまえ」というふうに擬人化して(人間でない
ものに対しての「呼びかけ」を、僕は「感情を放り込む」
というふうに言ったりします)いるくらいです。
あとは、ちょっと難しい手法なのですが、
ダブルイメージ(僕がそう呼んでるだけですが)」です。
これは、
二つのイメージを同時進行させて、簡単に言えば
「融合」させてしまう技法
です。この作品では、「なめくじ」
を擬人化して、同時に自分が「なめくじ化」されているわけ
です。これによって、異なる情感の相乗効果が得られます。

あとは文体のことになるのですが、この作品は「ひらがな」
だけで書かれています。それは、全体的にひらがなの持つ
「優しさ」を強調したかったからです。
最終連(連=文章のまとまり)の

おまえもおれも
もしかしたらとてもきれいだ


を、いっそう引き立てることにつながっているのです。
「美しさというものは、見た目や印象だけに由来するもの
ではないよね」
という作者なりの意見が込められていると
感じとってください。

最後になりましたが、この作品は
「自分が抱えるコンプレックス」
が書くきっかけになっています。
他者から偏見を受ける
ようなハンデを背負っていても、それが「自分らしさ」である
ならば、それを「誇り」にして生きていければなと・・・

僕はそこを読み取ってもらえたら、それで充分です。

朗読 Tanpopo (MP3 1.09MB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…ベンジャミン
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…
 Top
Hello School 図書館の案内とお問い合わせ一般作品(小説)-1一般作品(小説)-2一般作品(詩・短歌・俳句)Hello School オリジナル作品他リンクHello School 文芸クラブ