■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
白樫物語
Yock

冷たい北風に煽られ
凍える霙に打たれても
白樫の木は黙して耐え抜く


容赦ない吹雪の最中
総てを失う事の恐ろしさに
怯えてはならない
大地深く張り巡らした根の先より
明日への滋養を蓄え


敗北を恐れてならない
例え捕囚の身となろうとも
囀る者には決して耳を貸さず


冬来たりなば春遠からじ
幾多の困難に耐えた
白樫の幹は堅く引き締まり
宙を抱え込むように広げた枝々に
柔らかな春の日差しを浴び
雪解け水はせせらぎとなり野山を潤す


それは大地に根ざす息吹きの証し
明日への希望を胸に抱き
暫しまどろむ一本の白樫の木となる


作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「生の意味」

主な表現技法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する内容
はあくまでも作者・編者の主観によるものであることを予め
記しておきます。


 この作品にはモティーフがあります。それは八重洲ブック
センターにて開催された朗読会で朗読された「葉っぱのフレ
ディー」という童話です。
 葉っぱのフレディーは、そのタイトルの通り春に生まれ晩秋
に散ってしまう一葉の葉っぱの短い生涯を通し精一杯生きる
ことの意味、友情の大切さを問う童話ですが、その眼差しを
一本の白樫の木へ向けてみました。
 どんなに苦しいこと、悲しい事があっても、必ず春は巡り来る
もの。そんな思いを何も語らず、そして確実に芽吹きの時を
ひたすらに待つ一本の白樫に託したものです。

 詩の構造的には1連目、3連目、5連目が主題部分を受け
持ち、2連目と4連目は、主題を受けての説明的な表現と
なっています。

朗読 Tanpopo (MP3 1.29MB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…Yock
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…ふしょうなブログ
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