■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
かなしいことが多すぎて
今村知晃

かなしいことが多すぎて
今夜も僕らは空を飛ぶ

きらめく星はガラスの破片
あるいはナイフの切先か

かなしいことが多すぎて
今夜もノラは水平に鳴く

塀には顔が現れて
わらっているのがなおかなしい

ああ さみしい夜だ 誰も知らない
(背中合わせの恋人たちとグラスをまわるとがった氷)

かなしいことが多すぎて
かなしいことが多すぎるから
今夜も誰もがしゃにむにあくびをしている


作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「悲を見つめる」

主な表現技法…反復法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する
内容はあくまでも作者・編者の主観によるものであるこ
とを予め記しておきます。


かなしいことが多すぎて
今夜も僕らは空を飛ぶ


もちろん、実際に空を飛ぶのではなく、飛ぶのは気持ち
とか心です。

かなしいことが多すぎて
今夜もノラは水平に鳴く


「水平に」がいかにもかなしさを表しています。

かなしいことが多すぎて
かなしいことが多すぎるから
今夜も誰もがしゃにむにあくびをしている


こうした「かなしい」気持ちを「あくび」という微妙な言葉
で表すニュアンスが特徴になっています。

かなしいという言葉が割かしに好きです。僕たちは
みんなかなしいんじゃないだろうかと時たま思ったり
もします。
そんな感覚をかすっていれば、僕としてはまあ満足
です。
傲慢かしら。
そうかも知れない。

朗読 Tanpopo (MP3 882KB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…今村知晃
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…http://diary3.cgiboy.com/1/immrtmak/
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