たとえばそこに
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| ここあ |
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たとえばそこに私がいるということ
炭酸水の泡の中に私がいるということ
生まれては消え消えては生まれる
連鎖する中にほんの一瞬私が見え隠れするということ
たとえばそこに私がいるということ
冷蔵庫の奥の隅っこに私がいるということ
長い間放ったらかしにされた野菜みたいに水分が抜けて干からびる
扉が重くて開けない たまに外のせかいの空気に触れる
ただ静かに呼吸して手を差し伸べられることをひたすらに待っているということ
たとえばそこに私がいるということ
駐車場の車の下でうずくまる猫と共に私がいるということ
誰にも気にされずに 泣いても気づかれはしない
でもこれはなんか違う 猫は気ままだということ
に今気づいた私はまだ置いてけぼりにはされてはいないはず
たとえばそこに私がいるということ
春を取り巻く優しい香りになれたら
少なくとも一年の中で一度は誰かの記憶の中にいられるのに
たとえばそこに私がいるということ
おかえりの一言の中に私がいるということ
たとえばそこに私がいるのなら
ありのままの私があなたの中にちゃんといるということ
たとえばそこに私がいるということ
それはしっかりとこのせかいに私が息づいているということ
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形式…口語自由詩
主題…「自己」
主な表現技法…
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| 解説 |
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※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、
ここで解説する内容はあくまでも作者・
編者の主観によるものであることを予め
記しておきます。
たとえばそこに私がいるということは辛い
ことや悲しいことが起きたときに自分は
決してひとりではないんだ、ということを
表しています。
泡は人生そのものですね。
冷蔵庫は待っているだけしか出来ない、
と（思い込んでいる）もどかしさです。
この辺りは少しネガティブですがそれ
以降は自分はせかいとしっかりと繋がって
いることに気づきます。
何かと繋がっているということはとても安心
できることだと思います。
人間ひとりでは何も出来ないですからね。
そして自分というものは本当に見えづらい
です。
周りがあって初めて自分があるのだと思い
ます。
その周りがどんなに辛くてもどんなに幸せ
でもしっかり自分で受け止めて生きていき
自分というものをよく考え、成長していきたい
ですね。
そのためにはやはり自分という存在を確か
なものにしてくれる周りに目を向けることが
大切なのかな、と思います。
私の場合、周りや自分を見ることから詩が
生まれます。
きちんと自分と向き合える人間になりたい
です。
たとえばそこに私がいるということ
詩のことばの中に私がいるということ
が誰かに伝わるといいな、と思います。
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