■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
はるか
まほし

春だから って
がんばらなくても
いいんだよ

桜のつぼみが
あちこちで
ちっちゃな
熱気球みたいに
今にも舞い上がりそうでも

はりあうように
がんばらなくても
いいんだよ

熱気球を
立たせるのは
はりつめた
ちから じゃない
はんなりした くうき だから


   っと

いき を したら


    っと

こころ は とんで


はるか に なって うかんでる

作品の著作権は作者が保持します。
無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題=「自己肯定」

主な表現技法…対句法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する内容は
あくまでも作者・編者の主観によるものであることをあらかじめ
記しておきます。


主題について

「春」という言葉は、草木の芽が「張る」という意味から来ている
という説があります。それはあたかも、熱気球がぱんぱんに
膨らむ様に似ています。しかし、熱気球の表面は張り詰めている
ように見えても、熱気球を飛ばすのは、熱した空気や水素や
ヘリウムといった軽い気体です。
そして「春」は、色々なことが新しくなる季節だと思います。
例えば学生だと進級したり、入学・卒業といった節目を迎えるなど、
環境の変化があるかもしれません。それに伴い、気負ったり、
緊張したり、不安定になるなど、自分で自分の心が受け止め
にくいと感じることもあるかもしれませんが、こういった感情は
ごくごく自然に起きるものなので、必要以上に追い込むことは
ないと思うんですね。

熱気球を
立たせるのは
はりつめた
ちから じゃない
はんなりした くうき だから


上に挙げた例は熱気球に限らず、心にも当てはまるでしょう。
本当の意味で心を動かすのは、子どもの頃に感じていたような、
軽やかに広がるような想いかもしれません。
桜のつぼみが、一つとして同じではないように、人の心だって、
一人として同じではありません。
かけがえのない自分を大切に
して欲しい、気持ちを楽にして欲しい、そんな思いをこめて、
この詩を書きました。

そしてこの詩も、それぞれイメージを膨らませて読んで頂けたら
幸いです。


技法について

1連目と3連目が
対句法で表現されていて、2連目が4連目に
繋がる形となっています。
2連目で「あちこちで/ちっちゃな」など、チの音を強調したり、
3・4連目で「はりあうように」「はりつめた」「はんなり」など、
ハの音を行頭に置いたりして、音としても楽しめるようにしました。
5連目以降も、「ふ」や「ほ」といったオノマトペを使ったり、空白を
入れることによって、
聴覚的にも視覚的にも軽やかに感じられる
ようにしました。
最後の行、そして、題にもある「はるか」は、ひらがなにすること
によって、「遥か」「春香」「春霞」など、色々読み取れるように
しました。
全体的に、ふんわりと言葉遊びができるように、作者自身も
楽しんで書きました。


 オノマトペ…フランス語で擬音語・擬声語・擬態語の総称。

朗読 Tanpopo (MP3 826KB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…まほし
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…お日さま生まれ
 Top
Hello School 図書館の案内とお問い合わせ一般作品(小説)-1一般作品(小説)-2一般作品(詩・短歌・俳句)Hello School オリジナル作品他リンクHello School 文芸クラブ