■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
水風船
仲仲治

君はいつかの割られてしまった水風船
昨日がすでに風景として横たわる
そんなのを繰り返して
いったい私達はどんな大人になりたいのだろう?

失しなったものよりも得られたものの方が多い
そう気付ける瞬光のまばたき
風はいつでも吹いている
だからなんでも動いていくんだね

気休めのような言葉
しかし白々しかった訳じゃない
言葉は光の反射

なんだかすべてが遠ざかっていくと思える時こそ
実際は近づいてくるものさ
風景の中にころがっていた水風船よ

作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。
朗読 Tanpopo (MP3 1.18MB)
 インターネットラジオ
 「ぽぽの放送」担当
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するか隠したりして、本文を見ながら聞くと効果的です。
形式…口語自由詩

主題=「人間関係の中での自己」

主な表現技法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する
内容はあくまでも作者・編者の主観によるものであること
をあらかじめ記しておきます。


水風船、割れたらただのゴムと水。
 それをどう考えるか、これが『水風船』の正体です。

 人は、肩書きがあったり、職場や学校があって、ようやく
自分だと思えます。
自分一人で、自分らしさなんてないんです。
いろんな人と関係して、その中で自分が分かってくる。

 割れてしまった水風船は、どうして割れてしまったので
しょう? 
考えてみると、きっと外からの圧力です。針でぷつりと
刺されたのか、握りつぶされたのか、叩き付けられたのか、
よく分かりませんけど、そういうことでしょうね。

 水風船から、ただのゴムと水になる。それはかなしいこと
でしょうか? 心を水だと思えれば、むしろ心は形にとらわ
れず、のびのびと流れていける、そして大海原に合流する
かも知れません。

 これは私の体験ですが、誰かの裏切りにあったりすると、
味方が誰一人居ないように感じられて、とても心細く、つらく
なる。
でも、実際はそんなことめったにないのです。
他の誰かがちゃんと分かってくれていて、励ましたり、手助け
をしてくれます。「捨てる神あれば拾う神あり」です。だから
大丈夫。
恐れずに生きていればいいんです。

 水風船にこだわるからかなしいんですね。膨らんだゴムの
中にある水だと思えば、そこからただの水になっただけでも
あるのです。


 

作者…仲仲治
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。 
 メインサイト…日記〈Didn't he leave any message for NAKANAKAJI?〉  写真〈白光〉
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