■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
紫の背反
腰越広茂

夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき

無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指のすき間から見える
空とのさよならで燃える火球
時は現在
放たれた。
鋭く翻る口から
星の歌が閃く
ひとつ ふたつ みっつ よ
限界からあふれる花弁

先刻、臨界した花の
未来は深く眠る運命の雲。
予報の雨は、
大地に落ちることはなく
この静脈で霧氷となる
世界樹の先であえぐ私が、
万有引力のバランス内でくぼみ
いいえ、と繰り返している


作品の著作権は作者が保持します。
無断転載を固く禁じます。
形式…口語自由詩

主題…「道理に背かなくてはならない想いの情景性」

主な表現技法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する内容
はあくまでも作者・編者の主観によるものであることを予め
記しておきます。


この詩は、主題の通り、「ある想い」を映した情景であります。
この秘めた(秘められた)想いは、読者の方々それぞれに、
詩行の内から「読み取って」、「感じて」下さればと思います。

技術的なことは、
まず、この詩には、
感情表現の為の具体的な言葉は使って
いません。

例えば、「悲しい」や「楽しい」などです。

感情は、情景を写し取り表現しています。
例えば、一連目の

>ほほにひとすじ
>熱いものが流れて
>小さな手のひらで顔をおおう
>影が淡く
>暗い血潮へ暮れてゆき

のようにです。

次に、全体を3連に分けていますが、
「文脈」は、読点(、)と
句点(。)で区切ってあります。
これによって、全体の流れをコントロールしています
(少なく
とも私は、そのつもりです)。

それぞれの効果については、皆さんで考えて頂ければと思い
ます。

朗読 Tanpopo(MP3 1.61MB)
 インターネットラジオ 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、画面を小さくするか隠したりして、
本文を見ながら聞くと効果的です。
作者…腰越広茂
 「現代詩フォーラム」主軸投稿者。  メインサイト…As H System
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