■ Hello School Library 一般作品(詩)■
Hello Schoolが選んだ一般の方の作品です。
ひまはり
杉菜 晃

 ひまはりは
 駝鳥のやうな脚をして
 太陽電池を支へてゐる
 もう花びらは一つもないが
 悲観などしてゐない


 ぢりぢりと
 ゆるぎない正義のいのちを
 蓄電して
 飽和に達すると
 過去 現在 未来
 を貫いて
 放電する


 ひまはりの顔が
 天から地上へと向けられたとき
 それは起こる

 
作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。
朗読 Tanpopo
(MP3 688KB)

 インターネットラジオ
 「ぽぽの放送」担当
Windows Media Playerが立ち上がるので、
画面を小さくするか隠したりして、本文を
見ながら聞くと効果的です。
形式…口語自由詩  
主題=「復活のいのち情」


主な表現技法…擬人法 隠喩法
解説

※はじめに
詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する内容
はあくまでも作者・編者の主観によるものであることを
あらかじめ記しておきます。


 これはあまり耳にしない名称ですが、預言詩といってもいい
と思います。神が語ったものを人間が仲介して詩にしたものと
いったところでしょうか。
 ひまわりは向日葵と書き、日に向いて回る花というように、
どの花よりも太陽を愛する花という意味をこめたのでしょう。
 けれどもこの「ひまわり」は擬人化したもので、本当に
書きたかったのは、ひまわりではありません。向日葵に
託した人間を書いたのです。託して書いたのであれば、
当然、ひまわりに似た性質があるということです。
百合や薔薇のような優艶な美しさはないかもしれない。
その代わり逞しい生命力に溢れ、明るく陽気で、素朴な
ところは、どの花にもひけを取らないでしょう。そして何より
の特色は、お日様を愛する心です。
 ここでもう一つ大切なことがあります。それはひまわりに
とってなくてならぬものは太陽ですが、人間にとっては太陽
ではありません。その人の一代限りにおいては、太陽も必要
ですが、この詩では二連を見ていただけば分かるように、
過去、現在、未来となっています。つまり、過去から未来
まで永世を取り仕切り、管理しているとなると、神のほかに
はいません。ということで、目に見えない神が隠喩となって、
詩の背後に隠れているのです。

 
この詩のテーマは、復活のいのちです。一度死んだものも、
復活してくるというのです。いのちを大切にしなければならない
という発想も、自ずとそこから出てきます。今生きているのは、
むなしいことではないのです。

 三連では、それがいつ起こるのかと言っています。「ひまわり
の顔が、天から地上に向けられたとき」とは、そういう人々が
神の声を聴いて、目覚めるときです。鯰や象は地震を予知
できるとされ、スマトラ沖地震では象は逸早く内陸に逃げて
難を免れたと言われています。
 人間にも、そういう力は備えられているのです。神の声を
聴き取る耳です。これからは、そういう覚醒がなされるとき
ということができるでしょう。
 

作者…杉菜 晃(すぎな あきら)    「現代詩フォーラム」主軸投稿者。
 Top
Hello School 図書館の案内とお問い合わせ一般作品(小説)-1一般作品(小説)-2一般作品(詩・短歌・俳句)Hello School オリジナル作品他リンクHello School 文芸クラブ