■ Hello School 古典 文法 接続助詞 練習問題 ■
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1.次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

 薩摩守忠度は一の谷西の手の大将軍におはしけるが、紺地の
錦の直垂に黒糸縅[おどし]の鎧着て、黒き馬の太うたくましき
沃懸地[いかけち]の鞍置い乗りたまへり。その勢百騎ばかり中に
うち囲まれて、いと騒がず、控え控え落ちたまふ、猪俣党に岡辺
六野太忠純、大将軍と目をかけ、鞭・鐙を合わせて追つつきたてま
つり、「そもそもいかなる人でましまし候ふぞ。名のらせたまへ。」と
申しければ、「これは味方ぞ。」と、ふり仰ぎたまへる内甲より見
入れたれば鉄漿黒[かねぐろ]なり。あつぱれ、味方には鉄漿つけたる
人はないものを、平家の君達でおはするにこそと思ひ、押し並べて
むずと組む。これを見て百騎ばかりあるつはものども、国々の馳武者
なれば一騎も落ち合はず、われ先にとぞ落ち行きける。薩摩守、
「につくいやつかな。味方ぞといはば、いはせよかし。」とて、熊野
育ち、大刀の早わざにておはしければ、やがて刀を抜き、六野太を
馬の上で二刀、落ち着くところで一刀、三刀までぞ突かれたる。
二刀は鎧の上なれば通らず、一刀は内甲へ突き入れられたれども、
薄手なれば死なざりける、取つて押さへて首をかかんとしたまふ
ところに六野太が童、おくればせに馳せ来つて、打刀を抜き、薩摩
守の右の腕をひぢのもとよりふつと斬り落とす。今はかうとや思はれ
けん、「しばし退け、十念唱へん。」とて、六野太をつかうで、弓丈
ばかり投げ退けられたり。その後、西に向かひ、高声に十念唱へ、
「光明遍照十万世界、念仏衆生摂取不捨。」とのたまひも果てねば、
六野太うしろより寄つて、薩摩守の首を討つ。
 よし大将軍討つたりと思ひけれども、名をばたれとも知らざりける
[えびら]に結びつけられたるを解いて見れば、「旅宿の花」といふ題
にて、一首の歌をぞ詠まれたる。

 行き暮れて木の下陰を宿とせば花や今宵のあるじならまし 忠度

と書かれたりけるにこそ、薩摩守とは知りてんげれ。太刀の先に貫き、
高くさし上げ、大音声をあげて、「この日ごろ平家の御方に聞こえさせ
たまひつる薩摩守殿をば、岡辺六野太忠純討ちたてまつたるぞや。」
と名のりければ、敵も味方もこれを聞いて、「あないとほし。武芸にも
歌道にも達者にておはしつる人。あつたら大将軍を。」とて涙を流し、
袖をぬらさぬはなかりけり。
(平家物語・忠度最後)
(1)下線部A〜の助詞のうち、接続助詞をすべて選び、記号で答えなさい。

(2)本文を通じて、作者が最も表現したかったことはどんなことと考えら
 れるか、次の中から選び、記号で答えなさい。

 ア.武士であっても死に対して常にお経を唱える仏教への信仰の強さ。
 イ.忠度が六野太を一騎打ちで勝つところを家来の助太刀で勝つ源氏方の
  武士道に反する戦の仕方。
 ウ.六野太による武士の活動を通じて源氏方の勢いの強さ。
 エ.忠度の武将としての最後と歌道にも優れた風流な生き方。

解答
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