■ Hello School 古典 文法 助動詞 まじ ■
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まじ 打消しの推量打消しの意志打消しの当然不適当・禁止不可能の意味をもち、
 形容詞シク活用型の活用で、活用語の終止形、ラ変型活用語の連体形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
まじ (まじく)
まじから
まじく
まじかり
まじ
まじき
まじかる
まじけれ
形容詞シク活用型

(1)打消しの推量…[〜ないだろう・〜まい]
まじ 人のたはやすく通ふまじからむところに、(堤中納言物語・よしなしごと)
 (人が簡単に通らないであろう所に、)
 
[未然]
かの国人、聞き知るまじくおもほえたれども、(土佐日記・一月二〇日)
 (あちらの国の人は、(和歌を))聞いてもわからないだろうと思われましたが、)
 
[連用]
御前渡りのおぼつかなきにこそ、なほえ堪へてあるまじかりけれ。(枕草子・一四三段)
 (中宮様の身の回りのことが気がかりで、堪えることができないにちがいないのであった。)
 
[連用]
雀などのやうに常にある鳥ならば、さもおぼゆまじ(枕草子・四一段)
 (雀のようないつでもどこでも見られる鳥であれば、そうは思われないだろう。)
 
[終止]
わが身こそは、え生きとまるまじき心地すれ(源氏物語・夕顔)
 (わが身は生き長らえられそうにない心地がするので、)
 
[連体]
冬枯れの気色こそ秋にはをさをさおとるまじけれ(徒然草・一九段)
 (冬枯れの気色は秋と少しも引けをとらないであろう。)
[已然]

(2)打消しの意志…[〜ないつもりだ・〜まい]
まじ ゆめゆめ疎略を存ずまじう候。(平家物語・忠度の都落ち)
 (決して粗末に扱うつもりはございません。)
 
[連用]
ただ今は見るまじ(枕草子・八二段)
 (今すぐに見るつもりではない。)
 
[終止]
われこの児に目をなむ見合はすまじき(今昔物語・一九−九)
 (私はこの子と目を見合さないつもりです。)
[連体]

(3)打消しの当然…[〜はずのない]
まじ 帰り入らせ給はむことはあるまじくおぼして、(大鏡・花山紀伝)
 ((帝が)宮中にお帰りになるようなことはあってはならないことこととお思いになられて)
 
[連用]
いとあるまじきことなり。(枕草子・九九段)
 (とてもあるはずのないことです。)
 
[連体]
仏の御しるべは、暗きに入りても、さらに違ふまじかなるものを(源氏物語・若紫)
 (仏のお導きはたとえ暗いところに入っても、間違えるはずのないものなので、)
[連体]

(4)不適当・禁止…[〜ないのがよい・〜てはいけない]
まじ 人に漏らせたまふまじ(源氏物語・行幸)
 (他人にお漏らしなさってはいけない。)
 
[終止]
人は慮[おもんばか]りなく、いふまじきことを口とくいひ出ひし、(十訓抄・四)
 (人は思慮がなく、言ってはならないことを軽く口に出し、)
[連体]

(5)不可能…[〜できそうもない・〜できないだろう]
まじ かりそめの仮屋などいへど、風すくまじく、ひきわたしなどしたるに、(更級日記)
 (仮の小屋といっても、風が隙間から入ってこないように、(幕など)ひきめぐらしたりして、)
 
[連用]
こよひはえ参るまじ(枕草子・二五段)
 (今夜は帰れそうにありません。)
 
[終止]
よめなど仰せらるれば、えさぶらふまじきここちなむしはべる。(枕草子・九九段)
 (「歌を詠め」とおっしゃられると、ともおそばにはいられない気持ちがいたします。)
 
[連体]
みづからの御心ながらだにえ定めたまふまじかなるを、(源氏物語・若菜上)
 (ご自分のお心でさえ、決めることができそうもないのに、)
 
[連体]
さる君をおきたてまつりてこそえ行くまじけれ(枕草子・二四〇段)
 (こんなお優しい中宮様をお見捨て申し上げて、とてもどこへも行くことはできそうもございません。)
[已然]

※「まじ」の音便
イ音便 まじき→まじい
 さては、汝に逢うては名のるまじいぞ。(平家物語・敦盛の最後)
  (では、お前に向かっては名を名のるまいぞ。)

ウ音便 まじく→まじう
 手にてもえさし出づまじうわりなし。(枕草子・一八四段)
  (私は手もすら差し出すことができないほどどうしようもないことでした。)

撥音便 まじかるなり→まじかんなり→まじかなり
 みづからの御心ながらだにえ定めたまふまじかなるを、(源氏物語・若菜上)
  (ご自分のお心でさえ、決めることができそうもないのに、)
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