■ Hello School 古典 文法 助動詞 る ■
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受身尊敬自発可能の意味をもち、下二段型の活用で、四段・ナ変・ラ変動詞の
 未然形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
るる るれ れよ 下二段型
 ※「自発」「可能」の意味をもつ場合、命令形はない。

(1)受身…[〜れる・〜られる]
よのつねならぬさまなれども、人にいとはず、よろず許されけり。(徒然草・六〇段)
 (世間並みとは違う有様であったが、人々に嫌われず、すべて許されていた。)
 
[未然]
名利に使はて、しづかなるいとまなく、一生を苦しむこそ、愚かなれ。(徒然草・三八段)
 (名誉・利益に追われて、心静まることなく、一生を苦しむのは、愚かなことである。)
 
[連用]
洛に帰りて貞徳の門人となつて世に知ら(おくのほそ道)
 (京都に帰って貞徳の門下に入って世間に知られるようになった。)
 
[終止]
親はらからの中にも、思はるる思はれぬがあるぞいとわびはしきや。(枕草子・二六七段)
 (親・兄弟の中であっても、愛される、愛されないがあるのはさびしいものである。)
 
[連体]
[いくさ]はまた親も討たれよ、子も討たれよ(平家物語・富士川)
 (戦いになれば、親も討ち死にされよ、子も討ち死にされよ。)
[命令]

(2)尊敬…[〜なさる・お〜になる・〜れる・〜られる]
ものもいはずうつぶきたりける時に、俊頼朝臣忍びやかに笑はけり。(無名抄)
 (何も言わずにうつむいた時に、俊頼朝臣はこっそりと笑われた。)
 
[連用]
かの大納言、いづれの舟にか乗らべき。(大鏡・頼忠)
 (あの大納言(藤原公任)は、どの舟にお乗りになるのだろう。)
 
[終止]
この頃詠まるる歌は、少しも思ひも入れず、(無名抄)
 (この頃詠まれる歌は、少しも気持ちを打ち込まず、)
 
[連体]
かようの契りをなさるれば、申し侍るなり。(無名抄)
 (このような(子弟の関係を)約束を結ばれたので、申し上げているのです。)
 
[已然]
さらば疾[と]う帰られよ(平家物語・行隆之沙汰)
 (そういうことなので、早くお帰りなさい。)
[命令]

(3)自発…[自然に〜れる・自然に〜れてくる]
興なき事を言ひてもよく笑ふにぞ、品のほどはからぬべき。(徒然草・五六段)
 (面白くないこと言ってもよく笑うのは、人格の程度が自然と推し量れるにちがいない。)
 
[未然]
初めて灰にて候ひけりと知らて、その後は食べずなりぬ。(古今著聞集・一九−四四〇)
 (初めて灰でございますとわかってきて、その後は食べなくなってしまいました。)
 
[連用]
はじめて過ぎぬるかたの誤れる事は知らなれ。(徒然草・四九段)
 ((この世を去ろうとする時に、)はじめて、過ぎてしまった誤りにおのずと気づくものだ。)
 
[終止]
名を聞くより、やがて面影は推しはからるる心地するを、(徒然草・七一段)
 (名前を聞くとすぐにその人の顔つきが推測されてくる心地がするのだが、)
 
[連体]
なほこそ国の方は見やらるれ、わが父母ありとしおもへば。(土佐日記・一月二一日)
 (やはり国の方に目がいってしまう。父と母がそこにいるので。)
[已然]

(4)可能…[〜できる・〜れる・〜られる]
すべて、あらぬ世を念じすぐしつつ、心をなやませること、三十余年なり。(方丈記)
 (総じて、住みにくい世の中を耐え過ごしつつ、心労すること、三十余年になる。)
 
[未然]
かくてもあらけるよと、あはれに見るほどに、(徒然草・一一段)
 (こんなふうにしていても住めるものだと、感心して見ていると、)
 
[連用]
冬はいかなる所にも住ま(徒然草・五五段)
 (冬はどんな場所でも住むことができる。)
[終止]

※「る」の識別
四段・ナ変・ラ変動詞の未然形+「る」→受身・尊敬・自発・可能の「る」の終止形
 かの大納言、いづれの舟にか乗らべき。(大鏡・頼忠)
  (あの大納言(藤原公任)は、どの舟にお乗りになるのだろう。)

サ変動詞の未然形・四段動詞の命令(已然)形+「る」→完了の助動詞「り」の連体形
 今生ひたるぞまじれ(土佐日記・二月一六日)
  (生まれた新しい松の木が交じっている。)
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