■ Hello School 古典 文法 係助詞 係り結びの法則 ■
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係り結びの法則
 文は通常、終止形または命令形で結ばれるが、係助詞の「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」
 が文中で使われる場合、独特な結び方をする。

係助詞 結びの活用形
連体形
なむ
や(やは)
か(かは)
こそ 已然形

六野太を馬の上で二刀、落ち着くところで一刀、三刀まで突かれたる(平家物語・忠度最後)
  (六野太を馬の上で二回刀で突き、馬から落ちたところで一回、合わせて三回も突いた。)

弁もいと才かしこき博士にて、いひかわしたることどもなむ、いと興ありける(源氏物語・桐壺)
  (右大弁もとても学才の優れた博士なので、話し合うことなどは、とても興味深いものがあった。)

あかずありけん、二十日の、夜の月出づるまでぞありける。(土佐日記・一月二〇日)
  (まだ満足できなかったのであろうか。二十日の夜の月が出るまでそこにいたのです。)

乾き砂子の用意やはなかりける(徒然草・一七七段)
  (乾いた砂の用意はなかったのだろうか。)

「殿はなにならせたまひける」など問ふに、(枕草子・二五段)
  (「こちらの殿はどこの国司になられましたか。」などと問うと、)

「ここにても、人は見るまじうやは。などかはさしもうち解けつる」と笑はせたまふ。(枕草子・八段)
  (ここでも、人が見ていないとは限りません。どうしてそのように気を許したのですか。)

人あまたあれど、一人に向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ(徒然草・五六段)
  (人が多くいても、一人に向かって言うのを、自然と他の人も聞くものだ。)

係り結びの省略
 係助詞があるものの、結びの語が省略される場合がある。

夜を明かしてこそ(返し移し奉らめ)とたどり合へるに、(源氏物語・明石)
 (「夜が明けてから(お移ししましょう)」とまごついている時に、)

飼ひける犬の暗けれど主を知りて、飛びつきたるけると(いふ)。(徒然草・八九段)
 (飼っていた犬が暗かったけれども飼い主を見分けて、飛びついたということである(と言う。))

深き山を求めてやあと絶えなまし、とおぼすにも、波風に騒がれてなむ(深き山に跡絶えぬ)
と、人の言ひ伝えむこと、(源氏物語・明石)
 (深い山を求めて行方を消してしまおうとお思いになられるも、波風に驚かされて(深い山に入ってしまったのだ)
  と人々に語り伝えられては、)

ほととぎすのよすがとさへおもへばに(あらむ)、なほさらにいふべうもあらず。(枕草子・三七段)
 ((橘は)ほととぎすの寄り所と思ってしまうので(あろうか)、なおさらに言いようがなく素晴らしい。)

今さらかくやは(あるべき)。(徒然草・三七段)
 (今さらそんなことをすることがあろうか(あろうはずがない))

いかなることのあるに(あらん)。(徒然草・二三四段)
 (どういうことがあるのか。(あろうはずがないだろう))

「跡のため忌むなる事ぞ」など言へるこそ、かばかりのなかに何かはと(忌むことあらん)、(徒然草・三〇段)
 (「跡に残ったもののために忌み避けることです」など言うのは(悲しみの中で)、
  どれほどの縁起をかつぐことがあろうか。(あろうはずがないだろう))

「あまりにものさわがし。雨やみてこそ(尋ね給へ)」と言ひければ、(徒然草・一八八段)
 (あまりにも騒がしいことだ。雨が止んでから(お出かけなさい)と人々が言うので、)

係り結びの消滅(流れ)
 結びの語があるものの、文が完結せずに、接続助詞を伴って下に続く形になっているため、係り結びが
 成立しない場合がある。

宮より出でたまひけれ(源氏物語・野分)
 (宮中からお出かけになっていたので、)

御守り目はべるなむ、うしろやすかるべきことにはべる(源氏物語・若菜上)
 (お守り役(夫)のおりますことは、安心のできることではございますが、)

いつぞ縄をひかれたりしか(徒然草・一〇段)
 (いつだったか縄をお引きになったことがあったので、)

当時御方に東国の勢何万騎あるらめども(平家物語・敦盛の最後)
 (現在では、味方として東国の軍勢が何万騎があるであろうが、)

それはさこそおぼすらめども、おのれは都に久しく住みてなれて見侍るに、(徒然草・一四一段)
 (あなたはそう思っていらっしゃるけれども、私は都に長く住み親しんでみますと、)
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